退職金の手取り計算(退職所得控除)

退職金には大きな「控除」があるので、税金は意外と少ないのだ。額と勤続年数を入れてみてほしいのだ。

万円
年
1年未満の端数は切り上げます(例:10年2か月 → 11年)。

くわしい解説:退職金の手取りはいくら? 税金の計算と「申告書を出さない」と20.42%引かれる話(2026年)(ブログ「ずんだ解説局」)

退職金の税金が安い理由

退職金は「長年働いたごほうび」で、老後の生活資金でもあるため、ふつうの給料よりかなり税金が軽くなっています。ポイントは2つです。

  1. 退職所得控除が大きい:勤続20年までは1年につき40万円、20年を超えた分は1年につき70万円が、税金のかからない枠になります。30年勤めると 800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円まで非課税です。
  2. 残りの半分にしか税金がかからない:控除を引いた残りを、さらに2分の1にしてから税率をかけます。

しかも、ほかの給料とは別に計算する「分離課税」なので、退職した年の給料が多くても税率が上がりません。

計算の流れ:(退職金 − 退職所得控除)× 1/2 = 課税退職所得 → 所得税(5〜45%)×102.1% + 住民税10%

計算例(国税庁の例と同じ数字)

例1:退職金800万円・勤続10年2か月
  1. 勤続年数は切り上げて11年 → 控除 40万円 × 11 = 440万円
  2. 課税退職所得:(800万円 − 440万円)× 1/2 = 180万円
  3. 所得税:180万円 × 5% × 102.1% = 91,890円
  4. 住民税:180万円 × 10% = 180,000円
  5. 手取り:800万円 − 91,890円 − 180,000円 = 7,728,110円
例2:退職金2,300万円・勤続29年2か月
  1. 勤続30年 → 控除 800万円 + 70万円 × 10 = 1,500万円
  2. 課税退職所得:(2,300万円 − 1,500万円)× 1/2 = 400万円
  3. 所得税:(400万円 × 20% − 427,500円)× 102.1% = 380,322円
  4. 住民税:400万円 × 10% = 400,000円
例3:勤続4年で600万円(短期退職手当等)

勤続5年以下だと、控除後の額が300万円を超える部分は半分になりません。控除160万円 → 残り440万円 → 150万円 +(440万円 − 300万円)= 課税290万円。所得税は(290万円 × 10% − 97,500円)× 102.1% = 196,542円です。

よくある質問

確定申告は必要?

会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、正しい税金が天引きされるので、原則として確定申告はいりません。出していないと、退職金の20.42%がいったん天引きされるので、確定申告で取り戻すことになります。

iDeCoや企業型DCを一時金で受け取るときは?

iDeCoなどの一時金も退職所得になり、勤続年数のかわりに掛金を払った年数で控除を計算します。会社の退職金と同じ年や近い年に受け取ると、期間が重なった分の控除が調整されて減ることがあります(受け取る順番と間隔にルールがあります)。複数の一時金がある人は、金融機関や税務署で確認してください。

住民税はいつ払うの?

退職金の住民税は、ふつうの住民税(翌年払い)と違い、退職金を受け取るときに会社が天引きします。手取りの計算にもその分を入れています。

退職金の税制は変わるの?

勤続20年を超えると控除が大きくなる仕組みは「転職しにくくしている」として見直しを求める意見もありますが、2026年10月時点で、勤続年数の控除の計算式(40万円・70万円)は変わっていません。また、2027年からは防衛特別所得税が始まる予定(復興特別所得税の税率引き下げとセット)なので、計算方法が変わる可能性があります。

この計算の前提(概算です)

この計算結果は概算であり、個別の税務相談ではありません。実際の税額は勤務先から受け取る「退職所得の源泉徴収票」で確認し、迷う場合は税務署・税理士にご相談ください。