社会保険料のしくみをやさしく解説(2026年度)
給料から引かれるお金で一番大きいのは、税金じゃなくて社会保険料なのだ。いくら引かれて、どう決まるのかを見ていくのだ。
社会保険料は5種類
会社員が給料から引かれる社会保険料は、2026年度は次の5つです。カッコ内は本人が負担する割合です(会社も同じくらい払っています)。
| 保険 | 2026年度の料率 | 本人負担 |
|---|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ東京) | 9.85% | 4.925% |
| 介護保険(40〜64歳だけ) | 1.62% | 0.81% |
| 子ども・子育て支援金(2026年4月分〜) | 0.23% | 0.115% |
| 厚生年金 | 18.3% | 9.15% |
| 雇用保険(一般の事業) | 1.35% | 0.5% |
全部足すと、40歳未満なら給料の約14.7%、40〜64歳なら約15.5%が本人の負担です。税金(所得税+住民税)より多い人がほとんどです。
健康保険の料率は都道府県ごとに違い、会社の健康保険組合に入っている人は組合ごとの料率になります。
金額は「標準報酬月額」で決まる
健康保険と厚生年金の保険料は、毎月の実際の給料ではなく、標準報酬月額という「区切りのいい金額」にかけて計算します。給料を幅ごとに区切った表(等級)があり、たとえば月給が29万円以上31万円未満なら、標準報酬月額は30万円です。
この表には上限と下限があります。厚生年金は月65万円が上限なので、月給が100万円の人も、保険料は65万円として計算されます。健康保険の上限は月139万円です。
雇用保険だけは標準報酬月額を使わず、その月に実際に払われた給料(残業代や通勤手当も含む)に料率をかけます。
ボーナスにも保険料がかかります。ボーナスは1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に同じ料率をかけます。
月給25万円の人の計算例
東京の会社(協会けんぽ)で働く35歳、月給25万円(通勤手当なし)の人の場合です。月給25万円は、標準報酬月額26万円の等級に入ります。
| 保険 | 計算 | 本人負担(月) |
|---|---|---|
| 健康保険 | 260,000 × 9.85% ÷ 2 | 12,805円 |
| 子ども・子育て支援金 | 260,000 × 0.23% ÷ 2 | 299円 |
| 厚生年金 | 260,000 × 18.3% ÷ 2 | 23,790円 |
| 雇用保険 | 250,000 × 0.5% | 1,250円 |
| 合計 | 38,144円 |
月に約3.8万円、1年で約45.8万円。月給の15%ほどです。この人が45歳なら、介護保険料 260,000 × 1.62% ÷ 2 = 2,106円が加わります。
本人負担の1円未満は、50銭以下を切り捨て、50銭を超えると切り上げます(給料から天引きする場合)。
4〜6月の給料が大事な理由
標準報酬月額は、毎年4月・5月・6月の給料の平均で見直され(定時決定)、その年の9月から翌年8月までの保険料になります。
つまり、4〜6月に残業がたくさんあると、平均が上がって等級が上がり、1年間ずっと保険料が高くなります。逆に言えば、標準報酬月額が上がると、将来の厚生年金や傷病手当金も少し増えるので、まるごと損というわけでもありません。
また、昇給や降給で給料が大きく(2等級以上)変わったときは、3か月後に途中で見直されます(随時改定)。
払った保険料は何に変わる?
- 健康保険:医療費の自己負担が3割で済む。高額療養費制度で、ひと月の負担に上限がある。病気で休んだら傷病手当金(給料の約3分の2)、出産したら出産手当金や出産育児一時金。
- 介護保険:将来、介護が必要になったときに介護サービスを1〜3割負担で使える。
- 子ども・子育て支援金:児童手当の拡充や、育休中の給付の上乗せなど、子育て支援の財源。
- 厚生年金:老後の年金(国民年金に上乗せ)、障害年金、遺族年金。
- 雇用保険:失業したときの基本手当、育児休業給付、教育訓練給付など。
「引かれて損」と思いがちですが、民間の保険で同じ保障を買うとかなり高くつくものばかりです。自分の手取りへの影響は手取り計算で、将来の年金は年金の受取額の目安で確かめてみてください。
この記事の料率は2026年度(協会けんぽ東京支部・令和8年3月分〜、子ども・子育て支援金は令和8年4月分〜、雇用保険は一般の事業)の値です。加入している健康保険・業種によって料率は異なります。出典:協会けんぽ「令和8年度保険料額表」、日本年金機構「厚生年金保険料額表」、厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率」。