給与明細の見方をやさしく解説
「額面は30万円なのに、振り込まれたのは24万円くらい…」。差の6万円はどこへ行ったのか、給与明細を1行ずつ見ていくのだ。
給与明細は3つのブロックでできている
会社によって見た目は違いますが、給与明細はだいたい次の3つに分かれています。
- 勤怠:出勤日数、欠勤、有給休暇を使った日数、残業時間など。「どれだけ働いたか」の記録です。
- 支給:基本給、残業代、各種手当、通勤手当など。会社が払うお金の合計が「総支給額(額面)」です。
- 控除:健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税など。給料から差し引かれるお金です。
そして一番下にある「差引支給額」が、実際に口座に振り込まれる額、つまり手取りです。
月給30万円の人の明細を見てみる
東京の会社(協会けんぽ)で働く30歳、扶養家族なし、月給30万円(通勤手当なし)の人の、2026年のある月の明細の例です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本給+手当(総支給額) | 300,000円 |
| 健康保険料 | −14,775円 |
| 子ども・子育て支援金 | −345円 |
| 厚生年金保険料 | −27,450円 |
| 雇用保険料 | −1,500円 |
| 所得税(源泉徴収) | 約−6,600円 |
| 住民税 | 約−12,500円 |
| 差引支給額(手取り) | 約237,000円 |
社会保険料は標準報酬月額30万円で計算。所得税は「源泉徴収税額表」、住民税は前年の所得で決まるため、人によって違います(ここでは前年も同じ給料だった場合の目安)。
30万円のうち、約6.3万円が引かれて、手取りは約23.7万円。だいたい額面の8割です。年収が上がるほど税率が上がるので、手取りの割合は少しずつ下がっていきます。
引かれているお金、1つずつの正体
健康保険料
病院の窓口で3割負担で済むのは、この保険料のおかげです。病気やけがで仕事を休んだときの「傷病手当金」や、出産のときの「出産手当金」もここから出ます。会社も同じ額を払っていて、あなたが払うのは半分です。協会けんぽの東京支部なら、2026年度の料率は9.85%(本人は4.925%)です。
介護保険料(40〜64歳)
40歳になった月から加わります。2026年度は1.62%(本人は半分)。40歳の誕生日の前後で手取りが急に減って驚く人が多い項目です。
子ども・子育て支援金
2026年4月分(5月の給料)から始まった新しい項目です。子育て支援の財源として、医療保険料と一緒に集められます。料率は0.23%(本人は半分)で、月給30万円なら月345円です。明細では健康保険料に含めて書いている会社もあります。
厚生年金保険料
将来の年金のための保険料で、料率は18.3%(本人は9.15%)。控除の中で一番大きい項目です。払った分は、老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金にもつながっています。
雇用保険料
失業したときの「失業手当(基本手当)」や、育児休業中の給付金のための保険料です。2026年度は、一般の会社なら給料の0.5%。これは標準報酬月額ではなく、その月の実際の給料にかかります。
所得税
毎月引かれる所得税は、「とりあえずの前払い」です。1年分の正しい税額は12月の年末調整で計算し直し、払いすぎていれば戻ってきます。2026年は税制改正で基礎控除などが増えましたが、12月1日施行なので、毎月の天引き額は旧ルールのまま。年末調整でまとめて精算される見込みです。
住民税
住民税は前の年の所得をもとに計算され、6月から翌年5月までの12回に分けて引かれます。だから社会人1年目は住民税がゼロで、2年目の6月から急に手取りが減ります。くわしくは住民税が1年遅れの理由で解説しています。
ここだけはチェックしたい3つのポイント
- 残業代が合っているか:勤怠の残業時間と、支給の残業代を見比べましょう。時間外労働は通常の1.25倍以上の賃金が原則です。
- 4〜6月の給料:社会保険料は、主に4〜6月の給料の平均(標準報酬月額)で9月から1年間の額が決まります。この時期に残業が多いと、1年間の保険料が高くなることがあります。
- 住民税の金額が6月に変わる:毎年6月に住民税が新しい額に切り替わります。5月に届く「住民税決定通知書」も一緒に確認すると、自分の所得や控除が正しく反映されているか分かります。
自分の年収で手取りがいくらになるかは、手取り計算ツールで年単位で計算できます。社会保険料の決まり方をもっと知りたい人は社会保険料のしくみへどうぞ。
記事内の金額は2026年度の協会けんぽ東京支部・厚生年金・雇用保険(一般の事業)の料率で計算した概算です。健康保険組合に加入している人や、会社ごとの手当の扱いによって実際の明細は異なります。出典:協会けんぽ「令和8年度保険料額表」、日本年金機構、厚生労働省「雇用保険料率」、国税庁。